IT用語・プログラミング用語というのは、文字で入力することが多く、声に出して発音するときに読み方がわからないものが意外と多いですよね。
大きく分けると、造語や略語で読みづらいもの、普通の英語なんだけど日本人にとって読みづらいものの2つがあるようです。また、日本と英語圏では一般的な読み方が異なる用語もあったりします。
そんな、読み間違いやすいIT用語について解説していきます。いえーい。
Ajax : エイジャックス
正しい読み方 | エイジャックス |
英語の発音 | /éidʒæks/ |
Ajaxとは、ウェブブラウザ上で非同期通信を使って動的にウェブページの内容を変更する手法のことです。Asynchronous JavaScript + XML の略です。
アジャックスと言う人がたまにいます。それでも通じるとは思いますが、「アジャックスだって、プププ」と思われているかもしれません。気をつけてください。
ASUS : エイスース
正しい読み方 | エイスース |
英語の発音 | /éɪsuːs/ |
ASUSは台湾のPCメーカーです。ペガサス(Pegasus)の後ろ4文字が由来です。
日本参入時はアスースが正式な読み方とされており、日本法人の名前もアスース・ジャパン株式会社でした。ところが、2012年10月にASUSの読みがエイスースに統一され、日本法人も社名をASUS JAPAN株式会社に渋々変更したそうです。
ペガサスが由来ならば、アサスでいいじゃんと思いますが、一体どういうつもりなんでしょうね。
awk : オーク
正しい読み方 | オーク |
英語の発音 | /ɔːk/ |
awkとは、テキスト処理に適したシンプルなプログラミング言語です。3人の開発者 Alfred Aho, Peter Weinberger, Brian Kernighan の頭文字が由来。
なお、Ahoさんはアホではなくエイホと読みます。
BIND : バインド
正しい読み方 | バインド |
英語の発音 | /báind/ |
BINDは、DNSサーバソフトウェアです。Berkeley Internet Name Domain の略です。
ビンドではなくバインドです。
chmod, chown, chgrp : チェンジ・モード、チェンジ・オーナー、チェンジ・グループ
正しい読み方 | チェンジ・モード、チェンジ・オーナー、チェンジ・グループ |
英語の発音 | /tʃéindʒ móʊd/ /tʃéindʒ óʊnɚ/ /tʃéindʒ grúːp/ |
chmod, chown, chgrp はUNIX/Linux系OSでファイルの属性を変更するコマンドです。それぞれ、CHange MODe, CHange OWNer, CHange GRouP の略です。
シーエイチ・モードとか、チ・モッドのような読み方をする人もいるようです。そもそも正解がないので間違いとはいえませんが、略さずに読むのが無難だと思います。
cron : クロン
正しい読み方 | クロン |
英語の発音 | /krɑn/ |
cronとは、UNIX/Linux系OSでプログラムを定期的に実行するためのデーモンです。ギリシア語で時間を表す言葉クロノスに由来するという説と Command Run ON の略という説があります。名付け親の人、今すぐ名乗り出て!
実はこれ、日本ではクーロンと読む人が最も多いとされています。しかし私はこの読み方には大反対なんです。「c」の一文字を「クー」と読むのは絶対におかしいでしょ。
英語圏では /krɑn/ と読むそうです。カタカナにするとクランに近いのですが、日本人英語では「o」は「オ」と発音することになっているので、クロンを正解とさせていただきます。なお、イギリス英語では /krɑ:n/ と発音するらしいので、クローンもギリOKとしましょう。クーロンは認めません。
cURL : カール
正しい読み方 | カール |
英語の発音 | /kɚ́ːl/ |
cURLとは、URLに対して色々なプロトコルを使ってアクセスするためのコマンドラインツールです。Client for URLs の略。
私は長らくシー・ユーアールエルと読んでいましたが、カールが正解だそうです。公式サイトに書いてありました。ご丁寧に音声ファイルも用意されているので聞いてみてくださいね。
false : フォールス
正しい読み方 | フォールス |
英語の発音 | /fɔ́ːls/ |
falseとは、プログラミング言語などで使われる真偽値で、偽をあらわす値。
私、正しい読み方がフォールスだとは知っているものの、心の中ではいつもファルセと読んでいます。この場を借りて懺悔させてください、アーメン。
gets, puts : ゲット・エス、プット・エス
正しい読み方 | ゲット・エス、プット・エス |
英語の発音 | /gét es/ /pút es/ |
gets, puts とは、C言語で文字列を扱う関数の名前です。他の言語にも似たような名前の関数があります。GET String, PUT String の略。
「s」は複数形や三単現の「s」ではないので、ゲッツ!とは読みません。三単現って言葉を使ったの何十年ぶりだろう。
GIF : ジフ
正しい読み方 | ジフ |
英語の発音 | /dʒíf/ |
GIFは、画像ファイルフォーマットの一つです。Graphics Interchange Format の略。
長い間、ジフ派とギフ派の間で争いがありましたが、2013年にGIFの開発者スティーブ・ウィルハイトがジフが正しい読み方だと説明しました。それでも一部のギフ派は納得していないそうです。
Git : ギット
正しい読み方 | ギット |
英語の発音 | /gít/ |
Gitは、プログラムのソースコードなどの変更履歴を管理するためのバージョン管理システムです。
ジットではなくギットです。当然、GitHubはギットハブと読みます。某A氏はギフハフといっていましたがそれも間違いです。
GNU : グヌー、グニュー
正しい読み方 | グヌー、グニュー |
英語の発音 | /gnúː/ /gnjúː/ |
GNUとは、UNIXと互換性のあるソフトウェアを開発するプロジェクトのことです。GNU’s Not Unix の略。正式名称の中にそれ自身が含まれている再帰的頭字語ってやつですね。
動物のヌーはgnuと書いてヌーまたはニューと読みますが、こちらのGNUはGを発音します。動物のgnuと同じように、グヌーでもグニューでもいいのですが、日本ではグヌーと言う人のほうが多いのではないでしょうか。King Gnuもキングヌーだし。
LaTeX : ラテフ、ラテック、レイテック
正しい読み方 | ラテフ、ラテック、レイテック |
英語の発音 | /léitɛk/ |
LaTeXとは、テキストベースの組版処理システムです。電子組版ソフトウェアTeXを基にレスリー・ランポートが作りました。ランポート氏のLaをTeXに付けてLaTeXです。
まず、TeXはテックと読みます。なので、日本ではテックの前にラを付けてラテックと読みます。英語圏ではLaをレイと読むレイテック派が多いようです。
では、ラテフとは。フってなんなん?これは、TeXの名前の由来がギリシャ語でギリシャ語読みだとテフに近い発音なんだそうです。ただし英語圏でテフと言う人はいないようです。
Linux : リナックス
正しい読み方 | リナックス |
英語の発音 | /línʌks/ /línʊks/ /láinʌks/ |
Linuxとは、UNIX系OSの名前です。名前の由来は、Linux開発の中心人物リーナス・トーバルズとUNIXを組み合わせたもの。
開発者のリーナス・トーバルズが「どのように発音してもらっても構わない」と言っているので、正解はありません。
日本ではリナックスと読む人が多いです。雑誌「日経Linux」の読みは「にっけいリナックス」だし、「Turbolinux」の読みは「ターボリナックス」です。しかし、「日本Linux協会」の読みは「にほんリヌックスきょうかい」だったりします。
英語圏では、リナクス、リヌクス、ライナクスなど自由奔放に読まれているそうです。
locale : ロケール
正しい読み方 | ロケール |
英語の発音 | /loʊkǽl/ /ləʊkáːl/ |
localeとは、システムやソフトウェアにおける言語や国の設定のことです。英語で、場所・場面という意味です。
普通に英単語なので英語の発音にならえばいいと思いますが。アメリカ英語ではロゥキャル、イギリス英語ではロゥカールです。そしてなぜか、JIS規格ではロケールと表記されているので、日本ではロケールと読むのが一般的です。
Null : ナル、ヌル
正しい読み方 | ナル、ヌル |
英語の発音 | /nʌ́l/ |
Nullとは、プログラミング言語などで使われる何もないという意味の値です。
英語圏ではナルと読みます。uは原則アと読みますからね。Ultramanはアルトラマンです。
日本では、ナルと読む人もいればヌルと読む人もいます。どちらでもいいとされています。なぜかというと、ドイツ語読みだとヌルだからです。でも、結構な割合でローマ字読みでヌルと言ってる人がいるんじゃないかと私はにらんでいます。
そんな私もNullPointerExceptionのことは「ぬるぽ」と言うし、「ぬるぽ」されたら「ガッ」で返すのが礼儀だと思っています。今の若い人には通じないらしいから気をつけて!
ping : ピン
正しい読み方 | ピン |
英語の発音 | /píŋ/ |
pingとは、ネットワーク上で特定のIPアドレスを持つ機器から応答があるかを調べるためのプログラムです。Packet INternet Groper の略。
ピン派とピング派の激しい争いが今でも続いています。ピン派の人は卓球はピンポンだし香港はホンコンだと言い、ピング派の人はkingkongはキングコングだと言って両者が一歩も譲らない状態です。
英語の発音をよく聞くと「ピング」と小さくグを発音しているようです。bombやcombの「b」を昔はちゃんと発音していたのにだんだん面倒くさくなって発音しなくなったのと同じように、pingの「g」も100年後くらいには発音しなくなっているのではないでしょうか。
という訳で、時代を先取りしてピンを正しい読み方とさせていただきます。
sh : シェル、エスエイチ
正しい読み方 | シェル、エスエイチ |
英語の発音 | /ʃél/ |
shとは、人間からの入力をコンピュータに伝えるプログラムのことです。Shell または Bourne Shell の略。
略す前のシェルと読む人とアルファベット読みのエスエイチと読む人がいます。シェルのほうが短くて言いやすいと思います。
ちなみに、cshはシー・シェル、zshはゼット・シェル、bashはバッシュと読むことが多いです。bashだけなんかずるいね。
SQL : エス・キュー・エル、シークェル
正しい読み方 | エス・キュー・エル、シークェル |
英語の発音 | /síːkwəl/ |
SQLとは、リレーショナルデータベースの管理や操作を行うための問い合わせ言語です。Structured Query Language の略。
元々は米IBM社が開発した SEQUEL (Structured English Query Language) があり、それが後に標準化されてSQLになりました。なので、英語圏ではシークェルと読むことが多いそうです。日本ではアルファベット読みのエス・キュー・エルが多数派だと思います。
MySQLも、日本ではマイ・エス・キュー・エル、英語ではマイ・シークェルです。
UNIX : ユニックス
正しい読み方 | ユニックス |
英語の発音 | /júːniks/ |
UNIXはオペレーティングシステムの一種です。
日本ではユニックスと読むのが一般的ですが、英語圏ではユーニクスです。
WebP : ウェッピー
正しい読み方 | ウェッピー |
英語の発音 | /wépiː/ |
WebPとは、米Googleが開発している画像フォーマットです。
Googleが「Did you know? WebP is pronounced “weppy”」と言っているので、完全にウェッピーです。
width, height : ウィズ、ハイト
正しい読み方 | ウィズ、ハイト |
英語の発音 | /wídθ/ /háit/ |
width, heightは、それぞれCSSで幅と高さを設定するためのプロパティです。
普通に英単語なので、英語の発音にならいます。widthはゆっくり発音すると、ウィ・ドゥ・スなのですが、ドゥとスが重なってズのように聞こえるってことなんだと思います。
yum : ヤム
正しい読み方 | ヤム |
英語の発音 | /jʌ́m/ |
yumとは、Linuxのパッケージ管理システムの名前です。Yellowdog Updater Modified の略。
ユムではなくヤムです。おいしいのyumと同じ発音ですね。
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