アフィリエイターたちがこぞっておすすめするレンタルサーバーの「エックスサーバー」について、その人気の理由を探ってみたところ、おかしな点に気が付きましたのでご報告します。
結論を言うと、エックスサーバーのCPU・メモリのリソース保証って嘘だよねってことです。
CPU・メモリのリソース保証とは
エックスサーバーが2021年10月に導入した機能です。
上記のリンクで確認いただけるとおり、各ユーザーに対して vCPU 6コア / メモリ 8GB を割り当て(スタンダードプランの場合)、しかも他のユーザーの影響を受けずに独占的に使用できる機能らしいです。しかも月額990円で。「あら、お安い」と買い物カゴに放り込む主婦たちの姿が目に浮かびます。
奥さん、ちょっと待ってください。本当にその料金でリソース保証が実現できると思いますか。
オーバーコミットしているのでは
リソースの割り当てをするときには、オーバーコミットするかしないかが重要です。
ユーザーに割り当てるリソースの合計 > サーバーに搭載されているリソース
となる状態がオーバーコミットです。
ちょっとわかりにくいと思うので、わかりやすい図を作成しました。私が作成しました(やさしい)。
というわけで、オーバーコミットなしならば各ユーザーにリソース(8GBのメモリ)は保証できますが、オーバーコミットありならばリソースは保証できないんです。
で、エックスサーバーの価格設定ならばオーバーコミットしているはずだと私は思いました。問い合わせてみようかなー。でも緊張するなー。恥ずかしいなー。どうしようかなー。
予想通りの回答でした。チッ!
でもまぁ、オーバーコミットしていないならそう言ったほうがエックスサーバーにとってもアピールになるはずですから、隠すということはヤッてんだろうなと思います。
保証とベストエフォートの違い
インターネットの接続回線に例えると、専用線ならば通信速度が100Mbpsの帯域保証型だったりします。100Mbpsに近い速度が出る代わりに利用料はすっごく高いです。
で、我々庶民が使うネット接続回線は最大通信速度が1Gbpsのベストエフォート型だったりします。回線の混み具合によって通信速度は速くなったり遅くなったりしますが、お手頃価格で利用できます。
レンタルサーバーのリソース割り当ても同じで、オーバーコミットしていないならば「リソースを保証します」と言えますが、オーバーコミットしているならば「ベストエフォートです」と言わなければならないはずです。
他社サービスと比較してみると
エックスサーバーの競合他社サービスを見てみると、共用レンタルサーバーでなおかつユーザー単位でリソースの割り当てをしているサービスで、「リソース保証」という表現を使っているところはほとんどありませんでした。オーバーコミットしているならば「保証」と言ってはいけないという良識があるのでしょう。
唯一、ConoHa WING はリソース保証を謳っていました。リザーブドプランです。このプランではオーバーコミットをしていないことが明記されています。そして「真のリソース保証はWINGだけ」とエックスサーバーに喧嘩を売っています。
エックスサーバーと ConoHa WING のプランを比較してみましょう。
サービス名 | エックスサーバー | ConoHa WING | CohoHa WING |
---|---|---|---|
プラン | スタンダード (オーバーコミットあり?) | ベーシック (オーバーコミットあり) | リザーブド 4GB (オーバーコミットなし) |
割当vCPU | 6コア | 6コア | 4コア |
割当メモリ | 8GB | 8GB | 4GB |
月額料金 | 1,100円 | 1,320円 | 6,600円 |
(月額料金は12ヶ月契約の場合)
エックスサーバーのスタンダードは、もしオーバーコミットありならば ConoHa WING のベーシックとよく似ていることがわかりますね。逆にオーバーコミットなしならば、リザーブド 4GB と比べても料金が安すぎます。
エックスサーバー社の矛盾
なんと!2022年9月20日にシン・レンタルサーバーがリザーブドプランの提供を開始しました。
シン・レンタルサーバーとはエックスサーバー社が運営するサービスです。はい、エックスサーバーと同じ会社が運営しています。
このリザーブドプランが発表されたことによって矛盾が発生しました。下記に示すレンタルサーバー逆三角関係です。←逆かどうかはあなたの描き方次第です。
- ConoHaは「真のリソース保証はウチだけだ!」(エックスサーバーは偽リソース保証だ)と言いました。
- そこでシン・レンタルサーバは「ウチもシンのリソース保証(←うまい)はじめました」と言いました。
- 同じ会社のサービスなのにエックスとシンのリソース保証プランの料金おかしくない?
では、エックスサーバーとシン・レンタルサーバーのリソース保証プランの料金を比較してみましょう。
サービス名 | エックスサーバー | シン・レンタルサーバー |
---|---|---|
プラン | スタンダード (リソース保証?) | リザーブド・スタンダード (リソース保証) |
割当vCPU | 6コア | 6コア |
割当メモリ | 8GB | 8GB |
月額料金 | 1,100円 | 2,244円 |
同じリソース保証なのに、シン・レンタルサーバーのほうが2倍も高いじゃーん。どういうこと?
シン・レンタルサーバーのウェブサイトではB社(ConoHa)と比較して圧倒的なリソース保証だと宣伝していますが、自社のエックスサーバーと比較したらどうなん?
オーバーコミットは悪いことじゃない
私はオーバーコミットしていることを批判しているのではありません。オーバーコミットしているにもかかわらず「リソース保証」を謳っていることを批判しているのです。
むしろ、オーバーコミットはしたほうが良いと思っています。そのほうがサーバーのリソースを有効活用できるし、料金も低く抑えられるわけですから。
それから本来、リソースを割り当てるということは、ここまでしか使えませんよという制限を設定することなんです。同じサーバーに同居している他のユーザーもメモリを8GBまでしか使えません。だからサーバーのメモリを全部喰い潰されることはありませんということなんです。
その制限値をなぜか「こんなにたくさんのリソースを使えますよ」という宣伝文句として使おうとするからおかしなことになるのではないでしょうか。
おまけ: 1000万円のサーバーはどこにある
エックスサーバーのウェブサイトを見ていると「1台当たり1千万円を超える最新の商用サーバー機器を採用」という宣伝文句が踊っていますが、1千万円のサーバーを何台も稼働させているんだとしたらすごいですよね。
と思いながら機能一覧のページを見てみると「主な仕様」の上から3つ目に「vCPU/メモリ」という表現があります。vCPUとは仮想CPUのことです。
ということは、このレンタルサーバーサービスを提供しているサーバーは物理マシンではなく仮想マシンだということですね。解説に「ご利用いただくサーバーに割り当てられているCPU/メモリ量です。」とあるので間違いないでしょう。物理マシンにCPUやメモリを割り当てるとは言わないので。
1千万円のサーバーというのは複数の仮想マシンの親にあたる物理マシンのことなのでしょうね。騙されたわー。128コア/1024GBのサーバーが1台あたり1千万円だと思ってたわー。
もしかしてもしかしたら、この仮想サーバーの 128コア/1024GB もオーバーコミットしている可能性があるのではないでしょうか。こわいこわい。
さいごに
いかがでしたか。仮にリソース保証が嘘でベストエフォートだったとしても、サーバーに余裕があれば割り当てリソースを目一杯使うことができるのですから、私の言うことは気にしないでください。
そもそも WordPress でブログを運営するくらいの使い方ならばメモリ8GBも必要ありません。1GBでも余ります。
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でわでわ
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